プラタナスの並木道~その2~

2021年4月2日日常の文系・雑記エッセイ

前回から

【作品の中のプラタナス】

【映画の中のプラタナス】

プラタナスを語る上で絶対に外してはいけないソフトがあります。
それが第二次大戦後まもない昭和24年(1949年)に公開された
映画「第三の男」です。

第一級のサスペンス映画として日本でも大ヒットしました。

わたしは最初、
この映画を親に「とっても面白いから」と
むりやりDVDを見せられたのです。(汗)

見慣れない白黒の映画でしかも字幕です。

映画の最初の方はまったくついていけませんでした。

しかし
テーマ音楽がお洒落だったこと、
印象的なシーンがところどころにあったこと、
映画の後半からサスペンス度が増したことで
最後まで視聴することは出来ました。

で、
その最後に、わたしが最も脳裏に印象つけられたシーンが出てきたのです。


拾い物です

映画史に残るラストシーンだそうです。

季節は晩秋

一直線の、しかもものすごい距離の並木道が
線対称の構図でドーンと現れます。

そしてその奥から女が歩いてきて
男の前を華麗にスルーしていきます。
ホリー役のジョセフ・コットンもカッコいいです。

ここで映画が終わります。
時間にして1分20秒の長いシーンです。
カメラは固定されていて一切動きません。
女もカメラのすぐ横をすり抜けていきます。

なに今のシーン?  どこの場所?今でもある?

1分20秒のこのシーンだけでも一本の映画として成立しかねませんw

本編の ネタバレに注意しつつ早速ネットで検索

モーツァルトも眠っている聖マルクス墓地であること、
そしてプラタナスの並木道であることを知りました。



ラストシーンの二人の俳優がカッコよかったから
プラタナスの並木道がとってもステキだったから
というフォトジェニックなところから
2度目3度目の再視聴に突入したわたし

今では「第三の男」は大好きな映画の一本になりました。
わたし的洋画ベスト3に挙げたいです。

先日行った新宿御苑のプラタナスの並木道
今度は葉の落ちきった冬にまたいってみたいと思いました。
 

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【歌の中のプラタナス】

プラタナスの和名は「スズカケノキ」といいます。

スズカケとはプラタナスの実が
山伏が身につけている「篠懸」(すずかけ)に似ていることからの由来です。
(山伏をイメージしてください。肩から下げている?あの丸っこいものです)

さらに「鈴」にも見えるので「鈴懸の木」とも称しています。

わたしが音楽好きということもあって
「歌詞」「題名」「歌」「プラタナス」「鈴懸」で紐付けて検索してみました。
たくさんの歌手、ポピュラーソングの題名や歌詞が出てきます。


小椋佳さん、ゴスペラーズ、AKB48、徳永英明さん、・・・・・・

(Acidmanの「Platanus」は今回のブログでは一番の大発見でした。)

代表的なのは灰田勝彦さんの「鈴懸の径」です。
戦中(昭和17年)の歌です。
この歌のプラタナスは「思い出の中の象徴」として出てきます。

この歌は色々歌手にカバーされています。

ただわたしにとって、
歌詞にプラタナスが出てくる歌といえば
はしだのりひことシューベルツ(注1 の「風」です。

地元の図書館で偶然見つけた
『青春歌年鑑』というコンピレーションアルバムの1969年度版に
入っていた歌です。
歌の2番でプラタナスが出てきます。

プラタナスの枯れ葉舞う冬の道で
 プラタナスの散る音に振り返る
 帰っておいでよと振り返っても
 そこにはただ風が吹いているだけ♪

作詞は北山修さんです。
ぜったい「第三の男」からインスピレーション得てますよね!
っていう歌詞です
わたしはあのプラタナスの並木道のラストシーンが
即座に思い浮かびました。

ちなみにわたしは『青春歌年鑑』シリーズは1696年、1970~1980年代すべて
コンプリートしていますw。
特に1970年代はいい曲ばっかりなんですよね♪
 

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【まとめ】

はしだのりひことシューベルツの「風」は、
1960年代の邦楽では唯一ともいえる
洗練されたメロディーとコード進行(A→C#m→D→Eで始まります)
を持つ都会的な雰囲気の歌でした。

その歌詞にプラタナスが出てきたこと

そして
映画「第三の男」の素晴らしいラストシーンにプラタナスが出てきたこと

そのことでわたしの中のプラタナスのイメージは確定しました。

都会の雑踏の中で繰り広げられる人々のドラマの中に
彩りを与える愛すべきコンテンツ

それがプラタナスとその並木道ということです。

実際に植栽されているプラタナスは
強剪定のためあまりカッコイイとはいえません。

しかしその境遇に耐え忍ぶイメージ、そして詩的なイメージによって
大好きな街路樹なのです。

(注1

はしだのりひこ(端田宣彦)さんは1970年代になって
メンバー交代、そして女性ヴォーカルを加えて
はしだのりひことクライマックスを結成します。
1971年に「花嫁」が大ヒット。
YouTubeでその貴重なライブヴァージョンを聴くことができます。
ギター×2、ウッドベースだけの編成のライブなのですが
素晴らしい演奏とコーラス&ハーモニーも加わって
とても分厚い音を作っています。
テンポもちょっと早めでロックしてます。
わたしはこの動画でこの曲が大好きになりました。

(追記
2017年12月2日
はしだのりひこさん(端田宣彦さん)が亡くなられました。
ご冥福をお祈りします。

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