モーツァルトのフーガ ーレクイエム・キリエー

2017年7月31日音楽系

モーツァルトの全キャリアにおいて
フーガ形式、
特に曲の最初から最後までフーガの形式をとる曲は、あまり多くありません。
(フーガについての簡単な説明はこちら

モーツァルトのフーガといえば、
わたしの微力な記憶力では【K.626・レクイエム】のイントロイトゥスの第二曲キリエが真っ先に思い浮かぶだけです。

それほどレクイエムのキリエは印象深いです。
そしてモーツァルトの全曲の中で、最も悲劇的で圧倒的な音色を持つ二声のフーガ曲なのです。

【レクイエム・キリエ】

CDではイントロイトゥスの第一曲のレクイエムを受けて間髪入れずに始まります。

以下の画像は冒頭からの数小節です。

主要な4~5パートとわたしが耳コピしたコード(和音)進行を記しています。

【アナリーゼ】

主旋律は4小節からなっていて、4小節目の3泊目から転調された主旋律が始まります。
一部非常にお見苦しいところがあります。ご了承ください。

最初のフレーズの調性はDmで始まります。
”シ”の音が♭になっている短音階です。
最初の16小節は
Dm→Am→Dm→AmというようにDmとAmの調性の繰り返しですが、
二小節挟んだあと
Dm→Gm→Cm→
と転調が展開して、フーガの本領が発揮されます。

♪きーりえーーぞーん♪というメロディーの冒頭の、”きーり”の部分は各フレーズのつなぎ目なります。

このつなぎ目の処理にモーツァルトは飽きさせない工夫を凝らしています。
特に8小節目の一拍ごとのコードチェンジは素晴らしいです。
この処理はCmに転調するところにも出てきます。

【モーツァルトとフーガ】

モーツァルト自身はこのフーガの形式は嫌っていた、というか遠ざけていたようです。

形式ばっていて自由度が低く面白くないと思っていたのでしょうか。
対位法自体は円熟期から頻繁に出てくるのですが・・・。

奥さんのコンスタンツェからはフーガも書くように言われていました。
コンスタンツェはたぶん、
教会音楽風の作品を作曲させて、それを宮廷や教会への作品の売り込みや、あわよくばお抱え作曲家としての就職を画策していたのかもしれません。

このレクイエム作曲中には自身の死を予感していたモーツァルト

最後の作品の導入部で、自身のフーガの傑作を持ってきたところに、音楽の父バッハへの最大限の敬意が現れている、とわたしには思えてしまうのです。

そういえばベートーベンも最晩年になって、フーガの傑作作品を弦楽四重奏とピアノソナタで残しています。

 

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