Ave Verum Corpus K618 ーその2ー

2019年1月8日音楽系

ーその1ー からの続き

【Ave Verum Corpus】

 

『46小節』

最近の邦楽には大人から子供まで支持される、もしくは記憶される”みんなの歌”というのがほとんど無いように思います。

そこでカラオケランキングをみると、50代の人まで幅ひろく人気のある曲があります。

わたしも大好きなアニメ・エヴァンゲリオンのOP曲、「残酷な天使のテーゼ」です。

歌い出しから始まり、イントロ~一番へ続きます。
このイントロから一番の歌詞のサビの終わりまでで40小節です。

これに6小節足すと『アヴェ・ヴェルム・コルプス・K618』の全小節数です。

現代ポップス曲のイントロと歌詞一番に、エンディングを加えた小節数といえます。

クラシックはどうも・・・という人にも、とても親しみやすい長さの曲です。

このわずか46小節に、モーツァルトは自身の全キャリアを詰め込んでいます。

 

モーツァルトの全キャリアのテーマとはなんでしょうか。

それは人間の”生”と”死”
そして”再生・復活”です。
(偉大な芸術家が目指す芸術に共通するテーマです)

 

『来歴』

『Ave verum corpus』(アヴェ・ヴェルム・コルプス)は、ミサで使われる祈りのための”詩”です。

キリストへの感謝と賛美が書かれています。
モーツァルトはこの”詩”に曲をつけました。

その曲を、合奏奏者のアントン・シュトルに譲渡しました。
シュトルは、温泉療養地ハーデンで静養していた、モーツァルトの妻コンスタンツェの面倒を看ていたのです。

モーツァルト最後の年1791年6月のことです。

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『アヴェ・ヴェルム・コルプス』

音楽は長調の曲(明るい曲調)と短調(暗い曲調)の二種類に分けられます。

モーツァルトの曲は長調の曲が多いです。

モーツァルトが長調の曲で優れたメロディーを作りすぎたので、後世の作曲家たちは短調の曲を中心に書かざるを得なかった

という説もあるぐらいです。

その長調の曲の中にもモーツァルトは、長調⇔短調の転調を自由自在に施し、聴き手にイマジネーションの幅をもたせるようにしています。

このアヴェ・ヴェルム・コルプスも例外ではなく、46小節の中にモーツァルトの世界観と音楽テクニックがいかんなく挿入されています。

構成は
冒頭から21小節がニ長調

22小節から29小節の8小節がニ短調

その後はニ長調に戻ってラストまでです。

この曲を聴く度に感動するのは、特にニ短調からニ長調へ移るところです。

転調する部分は以下のようなコード進行になっています。
下の楽譜の4小節めからがニ短調(8小節)
そのあとがニ長調です。


楽譜はNotion6で作成しています。

DTMはStudio One 3 pro です。

参考にしたのはネヴィル・マリナー指揮のものです。

ピアノはわたしが勝手につけてしまいました。スミマセン

DTM作成中に、なにか、空へと消え入りそうな感覚に陥りそうな”感じ”がしました。
そこで、私の”毒”wで現世へと戻ろうと・・・・(^m^;)

ずっと以前に『クラリネット協奏曲』の第2楽章を耳コピしていたときにもあった感覚です。

ニ短調は『ピアノ協奏曲20番』や『レクイエム』の調性です。

モーツァルトはニ短調を悪魔的、死を司る調性と、捉えているフシがあります。

つまりニ短調の8小節部分は、”死”を意味するのかもしれません。

この8小節の最後、Gdim A♭dim の不協和音コードからAメジャーへ引き継がれます。

そこからニ長調へ転調されます。

Dメジャーの和音の響き、そして”ファ”のメロディー音が、まるで天上から降り注ぐ、光のような輝きをもって現れます。

赤丸で囲った部分です。

さらに、転調したところから4小節では、主旋律とコーラスとの対位法で、いっきに盛り上げていきます。

ここがこの曲の最大の聴きどころとだと思います。
キリスト教徒でなくとも、キリストの死そして復活をイメージしてとれます。

モーツァルトファンには、
モーツァルトが天上からわたしたちにエールを送ってくれている
ようにも聴こえます。

背筋が思わずゾクゾクってしてしまいます。

あまりにも美しすぎて、わたしは畏敬の念さえ抱いてしまっているのかもしれません。

 

【やっぱりすごい!!】

長調⇔短調の振れ幅が大きいほど人は心を揺さぶられる

このことをモーツァルトは知っていたのでしょう。

アヴェ・ヴェルム・コルプスは、”生” ”死” ”復活”という人を感動させるコンテンツと宗教観が、46小節、演奏時間たった3分ちょっとの短い曲のなかでまとめられた傑作と言えます。

耳コピして改めて思うのは、モーツァルトの和音(コード)感覚の素晴らしさです。

ま、これはモーツァルトに限らず大作曲家に共通していることなのかもしれませんが・・・・

上の楽譜にはありませんが、38小節目から39小節目の2小節
そのときのコード進行もとても勉強になります。

なにより、メロディーがほとんど4分音符、3/4分音符でできていることです。

こんな簡素な楽譜で、こんなすばらしいメロディーが生まれるのですね

 
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