ブライアンのスタジオワーク その1

2018年3月13日音楽系

【わたしの疑問】

わたしはビーチボーイズの作品群は
Youtubeでその多くを知りました。
それからレコーディングの貴重な音源もです。

その後CDを聴いたり
最近ではコード(和音)の耳コピもしています。

そんな中でいつも付きまとう疑問がありました。
それは

・レコーディングの音源の音はとても素晴らしいのに
 作品(CD)になると音が極端に悪い


・ピアノで耳コピしているとチューニングが合っていない
 ところがある

ということです。

”チューニングが合っていない”というところは
Youtubeに投稿した動画のUp主が
わざと変調させているんだろうと思っていました。
しかし曲の一部分だけチューニングが
おかしかったりすることもあるので
なんでだろうと思っていたのです。

 

【1960年代のスタジオワーク事情】

実際にレコーディング現場に行ったことがないので、あくまでも想像です。
現在制作されるポピュラー・ソングは、コンピューター&DAW(Digital Audio Workstation)を中心として制作されています。

人の声や生の楽器はハードディスクに録音、
デジタル化されてDAWで編集。
そしてほかのトラックとあわせて作品に仕上げるわけです。

そのトラック数は無限であり
さらにデジタル化されているため音の劣化がありません。

トラック
音を載せる道というイメージです
トラック数が多いほど編集できる楽器数が増えることになります。

 

対して1960年代です。

ようやくモノラルからステレオへ完全移行し
録音母体はテープとテープレコーダー
トラック数は4トラック、8トラック
といった貧弱さです。

エレキギター・ベースの録音も
エレキギターの音をギターアンプで鳴らし
それをマイクで録音するという手作り感満載
の録音風景だったようです。

【アナログマルチトラックの利点と欠点】

それ以前までは
作品に参加するミュージシャンを
一同に集めてライブ録音するという一発録音でした。
トラック数の増加によって
自由度は飛躍的に高まりました。

モノラル録音

1ch 歌、ドラム、ベース、ギター、
その他インスト

ステレオ録音

1ch
2ch ドラム、ベース、ギター、その他インスト

4トラック録音

1ch
2ch ドラム、ベース
3ch その他インスト
4ch 効果音

1トラック録音では1つのパートだけを
録り直すということができません。
映画の撮影と同じです。
念入りなリハーサルが必要となります。

2トラック録音では歌の録り直しができるようになります。

4トラック録音になると編集できるパートが増えます。
空いたチャンネルに効果音なども入れられるようになります。

ただし機材はアナログです
編集、録り直しを重ねる(オーバーダビング)と
音の劣化がデジタルと比べてどうしても起こります。
1chの歌を取り直す場合
他のチャンネルを再生しながら
重ねて録音することになるからです。
機材のノイズも乗ってくるでしょう。

 

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【テープレコーダーの魔術】

例えばリズムトラックで気に入った部分があれば
現在、DAW上でマウスによるコピー&ペーストで
簡単に曲の頭、曲中、曲の終わりにコピーできます。

1960年代でもそれはできました。
コピーテープから必要な部分をハサミ等で切り取り
それをオリジナルテープに埋め込む
という実に原始的な方法で・・・。

演奏をすべて録音しておいて
そこからベストな部分だけ切り抜いて
一本のテープに仕上げるということもありました。
この手法はクラシックピアニストの
グレン・グールドが有名です。

このテープとテープレコーダーの機能を
極限まで活用して革新的なサウンドを作り出したのが
アビーロードスタジオのスタッフとビートルズです。

・テープレコーダーの回転数を上げて録音して
元の回転数に戻して再生する
(音質が変わる)
・切り取ったテープの両端をつなげて輪っかにして
無制限再生・逆回転再生させる。
・テープレコーダーの録音・再生ヘッドを分離、
ずらして配置してオーバーダビングする。
(ヴォーカル録音でよく使われました。
わずかなズレが生じるのでエフェクト効果が得られます)

といったところです。
わたしがビートルズの中で
一番好きな「Strawberry Fields Forever」での
あのサウンドやジョン・レノンの声のエフェクトは
これらスタジオスタッフによる
テープレコーダーの魔術によるものです。

【1950~60年代のレコード会社事情】

50~60年代にかけてアメリカのレコード会社は

78回転のSP盤に始まり45回転のEP盤
さらに33回転のLP盤
音に関してはモノラルからステレオ

というようにレコードに関して様々な規格を
打ち出してきました。

 

すべてはレコードを売らんがための商業主義に裏打ちされた
レコード会社主導の規格変更でした。

そんなレコード会社の方針に
Noを突きつけ
モノラル音源で作品をリリースするミュージシャンもいました。
音樂制作者らしい意見として
モノラル録音のほうがライブ感、ダイレクト感が表現されている
という判断らしいです。
本音は音楽業界への反発だったのでしょう

それが音樂プロデューサーのフィル・スペクターであり
彼をライバルとするブライアン・ウィルソンだったのです。
ブライアンの場合は身体的事情もあったのですが。

続き

 

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