ブライアンのプロダクション3 That’s Not Me
【That’s Not Me】
「それは僕じゃない」という
なかなか意味深な歌です。
サーフィンソングを制作している僕、
でもそれは(本当の)僕なんかじゃない
とでも実は歌いたかったのでしょうか。
もちろんトニー・アッシャー作の歌詞はそんな内容ではありません。
そのように勘ぐりたくなるフレーズはいくつも散見できます。
『Pet Sounds』のレコードではA面の第3曲目です。
歌の一番はAメジャー → F#メジャー → Eメジャー
と転調します。
二番の途中でGメジャー → Fメジャー と転調して
最後はF#メジャーのリピートでフェードアウトします。
とにかく楽譜に付く#(シャープ)の数と転調の数の多さにビックリします。
一度サウンドクラウドに曲をアップしました。
けれど、わたしが大人の事情をよく知らなかったので削除しました(^m^;)
そのうち「That’s not me」をリメイクしてYoutubeに上げます。
聴いていて印象深い、というかジャマなのがオルガンの音です。
ベースがメロディックに動いている分、オルガンの音も伴奏楽器となっています。
しかし、そのオルガンがやはりベースラインから外れた編曲で、しかもとても目立つので曲全体がどうも変な感じです。
さらにサビが曲を全然盛り上げてくれません。
むしろサビがどれなのかさっぱりわからないぐらいです。
ポップソングにはあるまじき行為ですw。
ベースは二本で演奏されているのですが(DAWでは一本にまとめちゃってます)これも一本は装飾音的な役目しか負っていません。
初めて聴く人にとってはとても難解な曲です。
サーフィンソングに親しんだ60年代のファンにとって、苦痛ですらあったのかもしれません。
最後のリピート&フェードアウトの部分は、わたしにはマントラのようにすら聴こえます。
アルバム中で浮遊感を最も体現している楽曲といえましょう。
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【アルバム「Pet Sounds」の秘密】
このようにアルバム『Pet Sounds』に収められている楽曲は、コード進行とベースラインが別々に動いている感じの曲が多いです。
それはすなわち楽曲の中に本来のベースの役割を果たす楽器が存在しないということにもなります。
聴いていて、このことが常に付きまとうため、なんとなく収まりが悪い、つまり浮遊感につながります。
よく言えばちょっと新しいサウンド?という感じになるのでしょう。
前回ブログで取り上げた、ポール・マッカートニーへのインタビュー記事で、インタビュアーのマークがポールに「”Paperback Writer"はリード・ベースという感じでした」と問いかけています。
その回答として
ブライアンのベースを例として挙げたというのもうなずけます。
わたしはなんとなくモード・ジャズの香りを感じました。
ブライアンは
メロディー、コード進行、ベースラインによる対話的なものを
取り入れようとしていたのかもしれません。
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