輪唱「かえるのうた」の秘密
【かえるのうた】
誰もが知っている、
一度は歌ったことのある童謡「かえるのうた」
作詞:岡本敏明、作曲:ドイツ民謡
♪かえるの歌が聞こえてくるよ~で始まる歌です。
曲の出典はドイツ民謡と紹介されています。
単純なメロディーだけに、
よく似たフレーズを持つ曲(とくにクラシック曲)も多いです。
さて、この「かえるのうた」は、8小節のシンプルな歌です。
しかし輪唱曲として分析すると、なかなか奥深い曲なのです。
【対位法】
輪唱「かえるのうた」の楽譜は以下の通りです。
輪唱とは、
同じフレーズを小節ごとにずらしながら重ね合わせて、合唱する形式のことです。
この「同じフレーズ」、「重ね合わせる」という単語。
音楽を語る上で、
これらの単語からは
「対位法」「フーガ」「カノン」
という音楽様式が想起されます。
対位法、フーガ、カノンを”朝の挨拶”で簡単に説明しますね。
朝、挨拶し合うのが「対位法」
「おはようございます」と挨拶されたら「おはようございます」と、同じ言語で挨拶するのが「カノン」
「おはようございます」と挨拶されたら
「グッドモーニング」
「ボンジュール」
と、意味は同じですが違う言語(調)で、
しかも相手の挨拶が終わらないうちに挨拶するのが「フーガ」
と、乱暴に説明するとこうなります。
この大雑把な定義からすると、輪唱曲は
対位法から成る、相手の挨拶が終わらないうちに挨拶するカノン曲
ということが出来ます。
対位させたとき調を変えていないのでフーガではありません。
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【かえるのうたの秘密】
カノン曲といえば有名な「パッヘルベルのカノン」が思い浮かびます。
「パッヘルベルのカノン」も「かえるのうた」も8小節です。
「パッヘルベルのカノン」は重ね合わせることができない、輪唱することができない曲です。
ではなぜカノン曲「かえるのうた」は輪唱することができるのか・・・
ちなみに
「パッヘルベルのカノン」は
C | G | Am | Em |
F | C | F | G |
とコード(和音)進行していきます。
(わたしがポップス畑の人なのでこの表記にさせてください)
たとえば、ピアノでこのコード進行を一小節遅らせて重ねて弾くと、不協和音を壮大に鳴らしてしまいます。
第一輪唱 | C | G | Am |
第二輪唱 | C | G |
と一小節をずらして重ねた時、最初にGコードとCコードが重なります。
そして
Gコードはソ、シ、レ
Cコードはド、ミ、ソ
で構成されています。
この時、ソの音は共通します。
しかしソの音以外はシ、ド、レ、ミと連続した音が同時に鳴るので
不協和音となってしまうのです。
一方
「かえるのうた」は
C G C F | C G C | C F C F | C F C |
C | C | C G C F | C G C |
というコード進行で、一見複雑そうなコード進行に見えます。
しかしこれは一拍ごとにコードを当てはめた場合です。
注目すべきは、すべての小節の一拍目と三拍目が、Cコードだけで進行していることです。
そのため「かえるのうた」を弾き語りする場合、Cコードだけで歌ってもさほど違和感がありません。
よって「かえるのうた」のコード進行は
C C | C C | C C | C C |
C | C | C C | C C |
と置き換えることができます。
これなら先程のパッヘルベルのカノンのように、1小節遅らせて重ねても不協和音はでません。
つまり、「かえるのうた」は
単一コードだけでも歌える曲なので、
遅らせて重ね合わせても不協和音がでない。
さらに楽譜にある通り、
各小節の始まりの音がCコードの構成音(ド、ミ、ソ)で始まり
1音ずつ上げたり下げたりする非常に単純なメロディーである。
よって、
フレーズを重ね合わせた時に、単音同士が接近しないので不協和音がでにくい。
ので輪唱できるのです。
【輪唱曲を作ってみた】
そこでわたくし、この仕組みを応用して輪唱曲を作曲してみました。
どうでしょうか。
クラシック風で、マイナー(短調)コード1つのみ使い
ピアノ、トランペット、アコースティック・ギター、フルート
で構成されてます(汗)
ずっと昔の1970年代、
ジェームス・ブラウンという方が、一つのコードしか使わない、ワンコード構成のフレーズに乗りまくって、ソウル・シャウトしていたそうです。
ワンコード構成のシンプルさ、その魅力に気づいたわたし。
ちょっと聴いてみようかなと思いました。
わたし、なぜこの「かえるのうた」に興味をもったのかというと、
今「フーガ」にとても興味があって、バッハを中心に色々アナリーゼしているからなのです♪
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