菊展覧会~そのディスプレイについて~

2021年4月2日日常の文系・雑記エッセイ

秋も深まりを見せる11月は菊展覧会・菊まつりのシーズンでもあります。

「菊展覧会」もしくは「菊まつり」で検索すると、たとえば「花火」のようなまとめサイトは出てきません。
しかし個々の菊まつり会場のHPがたくさんでてきます。

日本全国で菊まつり・展覧会は行われているのです。
(展覧会は関東、関西エリアに集中しています。)

【菊の歴史】

日本人に馴染みのある菊ですが、実は秋の野原に自生するキク科の植物はあまり多くありません。

現在の菊まつりの中心となる菊は、中国で交配されたものが平安時代前後にやってきた外来種です。
分類学上で”イエキク”と呼ばれるものです。

鎌倉時代に皇室の家紋となったことからも、大昔には菊は決してポピュラーなものではなかったのかもしれません。

庶民が菊に親しむようになったのは、江戸時代になって多くの品種が作られるようになってからです。
それが今日まで続いています。

【菊展示の実態】

では、現代の菊まつり・展覧会での展示方法を見てみましょう


わたしが今回見た展示やネットでの様子から、

閉鎖された展示小屋のなかで
恭しく菊や菊人形が飾られている

というのが展示の鉄板のようです。
上の画像でも人が入れないように鉄パイプとロープで仕切られています。

庶民的になったとはいえ、同時に日本国国家の象徴でもある菊です。
さらに菊職人、愛好家の方々の努力の賜物です。
その菊まつり・展覧会での展示方法も厳かな感じになるのは、致し方ないのでしょう。

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【SNSとの共存】

しかしです。
今はSNSの時代です。

この展示方法では、
「色々な菊が展示されている?いい画像撮れそう?」
って感じで興味本位でやってくるSNS民、とくにインスタピープル(笑)にはドン引きされるでしょう。

菊は太陽光に敏感なためなのかもしれませんが、

・光が入ってこない天井(ディスプレイの奥が暗い)
・人を排除する感たっぷりの鉄パイプむき出しの柵
・菊に無造作にぶら下げられた名札
(トップ画像の菊。奥の菊にも色々ぶら下がってます)

などなど、いわゆる”インスタ映え”には程遠いディスプレイです。

むしろ展示小屋の外で、販売用に屋外で展示されていた菊のほうが、インスタ映えしてました。

こんなのとか

こんなの

民に媚びる必要はまったくありません。

ただ、最近では日本の文化に興味を持つ外人さんも多く来日されています。
実際今回の展示でもデジカメ、スマホを構えた外人さんがいらっしゃいました。

日本の菊文化を世界に発信してもらうために、展示の一部分だけでも撮影にフレンドリーなディスプレイを、取り入れてもいいんじゃないかなぁと思いました。
(せめて自然光は十分に)

 

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