【初音ミクV4X】ブライアンの対位法 その2 ~God only knows~ 【DTM】

2021年5月12日音楽系ブライアン・ウィルソン研究

前回からの続き

【神のみぞ知る】

 

「対位法」

そんなわたしがまずアナリーゼしたのは

アルバム「Pet Sounds」のB面一曲目の「God only knows」でした。

このアルバムの中で最も美しい曲です。

美しさではブライアンの全キャリアの中でも5本の指に入る曲でしょう。

コーラスワークも素晴らしく、

何よりラストのパートでカノン的対位法を演出しているのが特徴です。

 

最後はサビのメロディーをカノン的対位法でリピートさせながら

フェードアウトして終わります。

サビの4小節は
|A     |E    |F#m       |E  F# G|

というコード進行です。この後歌の二番に繋がります。

そして最後のリピート部では

|A    |E    |A         |E    |

というA、Eコード(ベースはG#)の繰り返しにして、リピート&フェードアウトさせています。

どちらの4小節も同じメロディーが流れます。

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実際にGod only knowsをDAWで再現してみました。

[追記 初音ミクV4X]

初音ミクさんに歌ってもらいました。

初音ミクV4Xです。

DAWはStudio One 3です。

サビの部分の~without you のところは”うぃずあうーちゅー”という発音になります。

”ちゅー”のところをなんとか英語らしくしようとしたのですが、うまくいきませんでした。

リピート&フェードアウトの対位部分は、ミクさんとシンセ音、バズーンとホルンで行っています。

リピート&フェードアウト部の対位法のメロディーは以下の通りです。

ボカシてしまってすみません。

単純なコード進行は対位法の自由度を上げます。
(このあたりの対位法の説明はこちら

そのことによって、リピート&フェードアウト部は、対位法で動くメロディーとは別に、コーラス部(動画ではホルンとブラスパート)も対位法で動けるようになっています。

 

 

youtubeのメイキング動画等見ると、ブライアンはホルンの演奏にはかなり神経質になっています。

何度も録音し直しています。

ホルンに、人間のコーラスと同等のモノを求めていたためでしょう

原曲では、滑らかさがとても際立っています。

このホルンとコーラスの対話リピート&フェードアウト部の聴きどころです。

 

「難しいリズム」

曲の雰囲気に反して、やたらテンポが早いです。

そしてリズムがとても繊細です。

DAWのピアノロール画面に、打ち込んでいくと、いかにもDTMで作成したという雰囲気になって、原曲のようにはなりません。

違う曲みたいになってしまいます。

ほとんどのパートは、わたしがリアルタイム録音で直接弾いたものです。

 

[追記 ミクさんの打ち込み]

ヴォーカルはリアルタイムで打ち込むことができません。

繊細な歌いまわしを表現するには、1/64拍子で動かす必要がありました。

これがなかなか大変でした。

手直しはしましたが、微妙にベースに変なところがあります。

粗探しはご法度です(^m^;)

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リズムパートはシャッフル、というか1/32拍子単位の部分が多いです。

ドラムス、ベース奏者のリズムの練習にいいかもしれません。

歌の二番が終わったところで、全パートがリズムを取るところが4小節でてきます。

ここもリアルタイムで録音してみました。

この部分、メイキング動画を見ると、ブライアンも全パートに何度もやらせています。

 

【宗教的な音楽を目指して】

 

「God only knows」が収められているアルバム「Pet Sounds」は、ブライアンがビートルスの「Rubber Soul」に触発されて制作されたとされています。

ブライアンは「Smile」作成中に「Rubber Soul」を、”宗教的な音楽”と称していました。(@ディヴィッド・アンダール(注)談)

ジョン・レノンの作品、「ノルウェイの森」「ミッシェル」「イン・マイ・ライフ」はそんな感じがしますね。

”宗教的な音楽”を、自身のアルバムで表現するための自信作「God only knows」に、
(題名に”God"が使われているくらいですから・・)リピート&フェードアウト部のホルンとコーラスの対話は、”宗教的な効果”をもたらすのに十分貢献した、と言えるのではないでしょうか。

(ブライアンはこの”宗教的な音楽”、”スピリチュアルなサウンド”をさらに追求すべく、シングル「Good Vibrations」、アルバム「Smile」の制作にのめり込んでいくことになります。)

 

注)ディヴィッド・アンダール:
1966年末頃からのブライアンの友人&マネージャー
元MGMレコード社員、フランク・ザッパ、ダニーハットンを手がける

 

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