【オールドレンズ】PENTACON auto 29mm F2.8 モノコーティング【レビュー】
【”らしさ”が足りなかった2本のオールドレンズ】
今年になって2本のオールドレンズを購入しました。
どちらも1960~1970年代に製造されたオールドレンズです。
金属のボディにガラスのレンズでズッシリ感
絞りとフォーカスがマニュアル
さらにHelios44はお姿からしてオールドレンズで使っててなんか楽しい
ただ・・・・現代でも十分通用する描写をします。
開放でもフォーカス部分はキリッとしてますし、背景のボケもキレイです。
(Helios44は撮り方によってはオールドレンズらしい「ぐるぐるボケ」が出ますが)
なので、心の片隅に「描写が柔らかいところはステキだけど、思ったほどオールドレンズらしくないなぁ」という思いがありました。
【PENTACON auto 29mm F2.8 モノコーティング】
そんな中、目に止まったのがペンタコンというレンズです。
[PENTACONの来歴]
旧ドイツのカールツァイスの来歴についてはHelios44に少し説明しました。
ソ連は、ドレスデンにあったカールツァイス社のコンタックス製造設備をイエナに移転させました。
そこでソ連の技術者・職人にコンタックス&レンズの技術を学ばせます。
ソ連はその習得した技術をもって、自国のキエフでカメラ・レンズの製造を始めます。
そしてイエナに残ったのが、カーツツァイス・イエナ(Carl Zeiss Jena)です。
東独の国営企業となったイエナに光学精密機器メーカーが統合されます。
統合されたのがトリプレットレンズで有名なメイヤーオプティックゲルリッツ(Meyer-Optik Görlitz)で、配下となったのがカメラメーカーのペンタコンでした。
ペンタコンの普及版カメラ用にメイヤーのレンズが供給されました。
その後メイヤーオプティックはペンタコンに吸収され、ペンタコン銘のレンズが生産されることになります。
今回のレンズは、そのPENTACON auto 29mm F2.8 モノコーティングというレンズです。
当時の廉価普及版カメラに付いていたレンズで、収差も滲みも周辺の流れも大きい
となれば期待大です。
その徹底した”甘さ”が再評価されているのか、値段は上がり気味らしいです。
【レビュー】
Panasonic G9につけたペンタコンです。
オールドレンズ然としたお姿です。
絞りリングの動きが時たま渋いことがあります。
G9では58mmの画角になります。
フィルター径は55mm
プロテクションフィルターとお遊びでレンズフードをつけてみました。
[コーヒーカップ]
開放撮りです。
もの撮りです。
これを撮ったときは「あ~~このレンズもダメかぁ」と思いました。
Helios44やタクマーとそんなに変わらない印象でした。
[鉄棒]
開放撮りです。
秩父にあじさいを撮りに行ったときのものです。
このレンズの印象を変えたのがこの画像
玉ボケ、滲み、流れ・・・なんか今まで見たこと無い背景が広がっています。
モネやルノアールといった『印象派の絵画』のようです。
[ギボウシ]
開放撮りです。
最短撮影距離が25cmというのもこのレンズの良いところです。
かなり寄れる印象になります。
バブルボケっぽいです。
[あじさい・ひまわり]
開放撮りです。
ボケの暴れっぷりがとにかくスゴイです。
「ひまわり」では背景のひまわりが扇風機みたいになっちゃってます
[でも絞れば・・・]
F4以上に絞って建造物・風景を撮ったのがこれです。
旧芦ヶ久保小学校です。
梅雨空に覆われた秩父市街です。
美の山公園からの撮影です。
山の稜線を意識してフォーカスしてます
横田基地・R16沿いのお店のショーウィンドウと、米軍ハウス風の家がある風景です。
ペンタコンは発色が濃いように思います。
どれも普通によく撮れてます。
もちろん等倍で見ると、周辺に”流れ”は確認できます。
Web上では、ほとんどわかりません。
[フレア]
いずれも逆光の写真です。
フレアが撮れているのは、デジカメで撮り始めて今回が初めてです。
ペンタコンはたしかにフレアが入り易そうです。
【まとめ 印象派の絵画のような・・・】
- 濃いめの発色でコントラストが強め(今回の画像はトリミング以外No加工です。)
- 逆光下でフレアが入りやすそう
- 絞れば高画素機の恩恵もあって、高精細の画像が得られる
- 一方開放F2.8での撮影では甘々で、構図によっては印象派の絵画のような背景ボケ(悪く言えば暴れるボケ)が得られる
これが今回のペンタコンのまとめです。
被写体と構図しだいで”時を巻き戻す”レンズになってくれそうな予感さえしました。
まさに”ザ・オールドレンズ”といった感じです。
実は購入以降、G9にはペンタコンがつけっぱなしになってます。
とても気に入ってます。
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