Ave Verum Corpus K618 -その1ー
【晩年のモーツァルト】
天才と称されるモーツァルトです。
その天才にもスランプはありました。
晩年のモーツァルトが経済的に困窮していた、というのはよく知られています。
わたしは、その頃のモーツァルトは、作品の”アイディア”にも困窮していた、スランプ状態だったように思います。
モーツァルトは35歳で没します。
その少し前、33、34歳の作品で、メロディーがスッと出てくるのは、「クラリネット五重奏曲」
有名なオペラは「コジ・ファン・トゥッテ」ぐらいです。
弦楽四重奏曲、五重奏曲に素晴らしい、玄人を唸らせる作品は誕生しています。
しかし、モーツァルトの代名詞でもあるピアノ協奏曲は一曲もありません。
わたしが、その頃のウィーンの、ごく平凡な音楽好きの一市民だとしたら、すっかり影が薄くなってしまった作曲、音楽家、という印象を持つかもしれません。
【モーツァルト最後の年】
モーツァルトの才能は最後の年(1791年)、持ち直します。
91年になって、収入の糸口すらなくなったモーツァルトは、いくつもの舞曲、リート、コントルダンス曲を制作しています。
モーツァルトからすれば、いずれも”軽い”仕事です。
上半期は舞曲作家モーツァルトになっています。
この「どんな仕事でも受ける」という境地が、スランプ脱出のきっかけとなったのかもしれません。
その後、
ジングシュピール「魔笛」
クラリネット協奏曲
レクィエム
と、素晴らしい作品が生まれます。
この最後の年、前述3作品に加え、
ピアノ協奏曲27番
リート「春への憧れ」
と、わたしの好きな作品が生まれていて、モーツァルトの復活の年といえます。
非常に短い復活となってしまったのですが・・・
そしてわたしが大好きな「アヴェ・ヴェルム・コルプス」もこの年に制作されました。
ーその2ーへ続きます。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません