サブプライムローン・リーマンショック3
前回の続き
【弾けるバブル】
2004年5月まで続いた1%の政策金利は6月に1.25%に引き上げられました。
その後も段階的に引き上げられ、2006年の6月には5.25%にまでなります。
2000年頃の政策金利は6.5%です。
まあ数字の単純比較という点では順当な数値といえるかもしれません。
しかし、そのほとんどが変動金利型である、サブプライムローンを利用する層にとっては、危機的な金利上昇だったと思われます。
そして金利上昇は住宅投機者にも深刻な影響を及ぼします。
さらに住宅在庫に過剰感もついに出てきました。
2007年の4月頃からロサンゼルスとフロリダ、ネバダで、急激な不動産価格の下落が始まります。
【生き残りを模索する】
この流れを受けて、2007年6月にベア・スターンズの傘下のヘッジファンドが破綻
その後の四半期決算において、野村證券、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、クレディ・スイス、ドイツ銀行など世界的な大手金融機関が、次々にサブプライム関連の損失を計上、一気に深刻化しました。
前述のベア・スターンズはNY連銀の緊急融資を受け、JPモルガンに買収。
シティグループはGIC,アブダビ投資庁などから125億ドルの出資を受けます。
メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに500億ドルで救済買収。
政府支援企業である
フレディマック(連邦住宅抵当貸付公社の通称)と
ファニーメイ(住宅連邦抵当公庫の通称)は
アメリカ財務省が3兆ドルをつぎ込んで救済、国有化されます。
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【リーマンショック】
こうして金融機関が救済されていく中で、最後まで取り残されていたのがリーマン・ブラザースでした。
リーマン・ブラザースも米財務省、FRB、日本や欧米の各種金融機関と救済策を探っていました。
しかし9月15日、経営破綻を発表します。
これを受けダウ平均株価は500ドルの大暴落となりました。
ちなみに、
この時リーマン・ブラザースの資産は元本の9%にまで落ち込んでいました。
ベア・スターンズは業界5位
リーマン・ブラザースは業界4位の投資銀行です。
5位が救われて4位が破綻したため、さらに上位の投資銀行への信用不安が一気に広まることになりました。
これがリーマンショックです。
市場はリーマン・ブラザースの破綻だけでは済まないと判断したのです。
【AIG危機】
このリーマン・ショックと同時期に明らかになった、AIG危機もさらに金融不安を増大させました。
AIGは世界最大の保険会社です。
AIGはCDSと呼ばれる金融商品を大量に取引していました。
CDSは債務保証商品です。
中小金融系企業の破綻が続いたリーマンショックのころ、サブプライムローン関連の商品化証券は債務不履行に陥りました。
AIGには多大な保証金の支払いが生じ、損失、含み損が拡大していたのです。
超優良の保険会社が、サブプライムローン関連証券の煽りを食らっていたことで事実上破綻状態になっていた・・・
このことが市場参加者の心理的恐怖を増大させ、金融市場は大混乱に陥りました。
むしろリーマンショックよりも影響は大きかったといえます。
このAIGは政府の方策によって救済されることになりました。
AIGやフレディマック、ファニーメイは「大きすぎて潰せない」ということだったのです。
次から次へと生み出される金融派生商品に対して、その監視はたいへん難しいように思われます。
CDSに関しては、企業対企業の相対取引であり、規制もなく取引報告の義務もなかったため、その実態が市場に直接現れることがなかったのです。
これは1998年のLTCM危機と同じ構図です。
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【バブルは繰り返される】
人は、美味しい餌が目の前にぶら下げられれば飛びついてしまいますし、他人が儲けていれば自分もやってみたくなるものです。
企業経営者、とくに金融系企業の経営者ならなおさらです。
美味しい餌(金融派生商品)は今後も発生するでしょう。
また、1920年代に発生した株式バブルや今回の住宅バブル、どちらも信用バブルです。
この”信用”は金融市場ではもっとも欠かせないものです。
つまりバブルの発生とその破綻のサイクルは今後も繰り返されるということです。
しかしそれらを乗り越えてなお、成長する偉大な国アメリカであり続けてくれればいいのですが・・・・
ニューヨーク証券取引所ビルの正面には彫刻があります。
そこには
「人々の仕事を守る誠実さ」
と銘打たれています。
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